現代のシンデレラになる方法

キスから始まる本気の恋




東條先生と相澤さんと別れた後。


ショッピングモールの地下駐車場で声を荒げる私。


「ねぇ、先生に何言おうとしてたのっ?」


昴が何か言いたそうにしていたのは目に見えて分かった。

先生に言いかけようとしたところで、その度にすかさず私が割りいって無理矢理話を変えるの繰り返し。

分かりやすい程、昴の口数は少なくなり、何か言いたそうにしていた。

相澤さんはちょっとそういうの敏感そうだし、きっと変に思っただろうな……。

当の東條先生はというと、何も気づいていないようだったけど。


「だってお前2年以上片思いしてた相手に、あんなあっさり失恋していいのか。なんか言ってやりたくないのか?」

「だから、もう先生のことはいいんだって!」

「何がいいんだよ」

「だから先生のことはもう何とも思ってないの」

「別に、兄貴が相澤と付き合うことになったからって強がんなよ」


……かっちーん。

完全に頭にきちゃった。

「……もう、今日は電車で帰る」


先生のこと、にぶいって言うけど、あんただってひどいもんだ。

まぁ先生が絡むと仕方がないのかもしれないけど。

だけど、私だってそこまで大人になれない。


踵を返して駐車場を出ようとしたところ、昴に手を掴まれた。


「ちゃんと言えよ、訳分かんねぇ。なんでいきなりキレる訳?」

「……あんたが、にぶ過ぎて話になんないから」

「は?」

「あたしがあんたを助けてきたのは、先生のためなんかじゃない……っ」

「え……?」

「全部あんたのためにやってきたのっ。それなのに、何、勘違いしてんの馬鹿じゃないの。どんだけ先生に劣等感持ってるのよっ」



……ついに言っちゃった。

だって、分かってくれなくてムカつくんだもん。

あぁ、もう泣きそう。

でも大人だからそう簡単には泣けない。

きっと目に力を込めて、昴を見る。


「あんたのことが好きなの……っ。なんで分かってくれないのっ?」


しんと、2人の間に流れる沈黙。

人が必死に告白したのに、昴は表情一つ変えない。



「……とりあえず、家まで送るから車乗って」


口を開いたと思ったら、掴まれた手を引っ張られ半ば強引に車まで連れて行かれてしまう。


そこでもまた、お互い無言になる車内。


……あぁ、気まずい。

なんで勢いにまかして言っちゃったんだろう。

今、車から飛び出して逃げてしまおうか。


そう思い立って、いざ行動に移そうとした時。


黙っていた昴が口を開いた。



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