初恋は雪に包まれて
田嶋 亮輔の話
「小山は、そういう相手じゃない。」
そう言い残して、俺の可愛い可愛い小山ちゃんをさらりと拐っていったのは、
「……くっそー、伊東のやつ。」
仕事は完璧、ついでに見た目も完璧、しかし無愛想そうで近寄りがたいと言われているアイツだった。
「えっ、本当に?そうなんだ!あの映画に出てたんだね、私知らなかった。」
そう言ってニコニコと笑いながら俺を見上げる小山ちゃんは、それはそれは可愛い。
話すたびにピョコピョコと跳ねるポニーテールが愛らしくて、笑うと少しだけ見える八重歯が堪らない。
「小山ちゃん、知らなかったんだねー、全部チェック済みだと思ってたけど。」
「ふふ、うん、そのつもりだったんだけどね、見逃してたみたい。」
小山ちゃんがあの俳優が好きだと知ったのは2週間前、それから俺はその俳優が出ている映画やドラマを調べまくった。