檸檬-レモン-

Sanae Shibata



「さっ…早苗さん!ぼ、僕とつつ、付き合って下さい!!」


「プッ…」


真っ赤な薔薇の花束と一緒に、どもりすぎの告白。

こんな告白をされたのは、初めてだった。


「え…あの、変な事言ったかな?」


堪えきれずに笑ってしまった早苗は、笑いが止まらなくて。

亮介は、ポカンとしている。


「だって…なんか、くさすぎるんだもん」


「えっ!臭います?ニンニクかな…あー、昨日の夜食べた餃子?!」


「あはははは…」


もう、本当面白い人。


「違うって。くさいって、そう言う意味じゃなくて。告白の仕方がって事よ」


「あぁー…良かった。そっちの意味ですね…って、僕は徹夜で考えて…」


笑いすぎて、お腹が痛くなってしまった。
でも、すごく嬉しい。


「ありがとう。こんなに、早苗を笑わせてくれるのは、亮介だけよ」


「さっ早苗さん!!」


薔薇の花束を受け取る。
亮介は、涙目で笑顔になって。


「よろしくお願いします」


手を繋ぐ。
一番じゃなくたって、一緒にいられればいいと思ってた。

都合のいい女でも、何でもいいからって…

でも、こうして手を繋いで思ったの。


心と心が通い合って、触れて、初めてしあわせだって。

こんなに、温かくて優しいものなんだって。



「亮介、大好きだよ」


そう言って、頬にキスをした。



亮介は真っ赤になって、口をぱくぱくさせて何も言えない。



早苗は、今世界でいちばん、しあわせだって自信を持って言えます。



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