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「そろそろ行ってくるわ」


「なんだか顔色悪くねぇ?寝てねぇのか?」


「いや、寝たから大丈夫」


「そう」


店へ行く前、飛翔くんと逢う前に交わした旦那との会話。


〝気を付けていけよ”とか、見送ることなんて決してしない。


まるで、あたしが好んで仕事に行ってるみたいだ……



そんなのももう慣れてしまってるし、別に今更どうってことはない。


玄関の鍵を1人で閉めるとたまに虚しくなったりもするけど、これでいい。



いつものように鍵を閉め玄関を出ると、あたしの心臓は凄い速さで動き始める。



家が見えなくなった所で携帯を取り出せば、フォルダーから飛翔くんの名前をだし、新規作成のボタンを押す。



《もう出れるけど、何処に行けばいい?》



そう送ったと同時にあたしは車に乗り込みシートに座る。


「ふぅ~」とため息を吐いたかと思えば、すぐさまあたしの携帯のランプは着信を知らせていて……


《じゃぁ、この前のコンビニの近くに着いたら連絡してよ》


《分かったよ》



そう送信したと同時に、サイドブレーキをひくと、ギアをドライブに入れた。



苦しい……


凄い勢いで動いている心臓に、壊れてしまうんじゃないかと思うくらいだ。



アクセルをゆっくり踏み込むと同時に車もゆっくりと走り出す。



だけどあたしは、アクセルを強く踏んだ、早く姿を見たくて、どんどん加速する。



そして、



あたしの踏み込んでしまった恋もそれに比例するかのように加速し始めた。



戻れないところまで……




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