音楽が聴こえる
4.視聴覚室をステージに

side 茉奈

◇◇◇
あたしの放課後の過ごし方が変わった。

こやつらの練習のラスト30分に付き合わなくてはならない。

理由は簡単。

そうしないといつまででも残ってるからだ。

練習初日の翌朝には、鍵当番だった先生から早速苦情がでた。

お蔭であたしは平謝り。

昼休みに高城謙二を呼び出して、そこいら辺は上手くやってよ、とボヤキを入れた。

何故高城を呼んだのかと言えば、彼があたしにウンと言わせた張本人だからだ。

ーーー

斉賀が勝手にエキサイトして帰ったあの日の放課後、今度は高城がやって来た。

高城は少し長めの黒髪に、縁なし眼鏡を掛けていた。

一重の目が鋭く見えるけど、笑うと目元が猫みたいになる。

バンドよりも読書が似合いそうな子。


「今度は君ですか」

明日の授業の用意してるんだけど、あんた達はお構い無しだもんね。

「昼休みは、斉賀が失礼しました」

ひょろっとした長身が頭を下げる。


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