現代のシンデレラになる方法

現代のシンデレラになる方法




小さい頃、私は絵本が大好きだった。

昔から母が仕事で家にいない間、私は本を読み耽って寂しさを紛らわせた。

そして、その中でも特に好きだったのが童話だった。


現実とは違い、全て夢のように良いようにことが運んでくれる。

私はその中の主人公、お姫様にひたすら憧れた。

いつもキラキラして、華やかなドレスを着て王子様からの寵愛を受けるお姫様に。

それは誰もが羨む幸せ。

女の子だったら誰でもそんなお姫様に憧れたはず。


妹が小学校に上がった頃だったろうか。

母は私に妹を任せ夜遅くまで仕事をするようになった。

私は妹に絵本を読み聞かせて寝かしつけてから、母の帰りを待つことが日課になっていた。

その間、古いガタガタと鳴る窓から見える夜空が私の全てだった。


いつかきっと現れる。

そして、ここに私を迎えに来てくれる。

キラキラした私にだけ優しい王子様が。

都合良く私に一目ぼれしてくれて、そのままお城に連れて行ってくれる王子様が。


そう、あの頃願ったのは。

ここから、現実から、連れ出してくれる王子様。



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