私の王子様を見つけました

嘘を重ねて

あの頃の氷室直人は本当に優しかった。



今も何気に優しいけど。



「真凛ちゃんは拓斗をまだ好き。」



「はい。」



「今の拓斗はのあの頃よりも手強いかもね。俺もだけど、10年前に戻ってやり直せたらいいなと思う。」



10年前に戻るだなんて、考えたくもない。



ゴボウに戻る事はもう無理だ。



「私は戻りたくないです。」



氷室直人は遠くを見つめたまま何も言わない。



ボロアパートまで送ってもらうのは恥ずかしくて、少し手前の高級マンションの前で車をとめて貰った。




「こんな所に住んでるんだ。」



ありがとうございましたと頭を下げて車をおりた。



氷室直人の車が遠さがるのを確認して、ボロアパートへ急いだ。



疲れた。



色んな事があり過ぎて、クタクタだ。



シャワーを浴びて、お腹が空いたことも忘れそのまま眠ってしまった。



氷室拓斗に言われた通り裸のままで寝たが、ぐっすりは眠れなくて何度も起きてしまい、次の日顔がむくんで大変な事になっていて。



最悪な気分だ。



お腹が空きすぎて死にそうだよ。



昨日のお弁当食べても大丈夫だよね。



冷蔵庫にいれてたし。



電子レンジで温めて食べた。



上手い。



上手すぎる。



食べるとお腹が膨れるけど、まぁ大丈夫でしょ。



腹が減っては戦ができぬ。



勝手に判断した。

































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