恋物語。

何気ない毎日




―結婚式をあげてから半月。


苦手な料理にも、やっと慣れてきた今日この頃。
私はキッチンで朝食作りをしていた。



「…おはよう、知沙。」



「ぁ…おはようございます、聡さん。」


その時、旦那さまの彼がやって来てダイニングテーブルに座った。
そして…私の顔を、じっと見つめる。



「なっ…何ですか…?」



「ん…?知沙もすっかり“奥さん”かぁ…と思って。」



「//…っ」


ふっ、と微笑みながらそう言う聡さん。




もう…朝からそんなこと言わないでほしい…。
何か、その…恥ずかしくなる、から…。




「そ、それより…!朝ご飯、できましたよ?」


私は話題を変えるようにダイニングテーブルにお皿を二つ並べた。
今朝はトーストにスクランブルエッグ。それと、カフェオレ。



「あ、ありがとう。…いただきます。」


彼はそう言って朝食を食べ始めた。



「そういえば知沙、飲めるようになったんだね?」



「え…?」


私も椅子に座りカフェオレの入ったカップに口をつけようとしたら彼がそう言う。



「…カフェオレ。昔はコーヒー、全然ダメだったじゃん。」



「あぁ…うん、そうだったね。でも、まだ甘くしないと飲めないけど…ちょっとは大丈夫になった。」



「そっか。」


そう言うと微笑んでくれる聡さん。
その笑顔だけで私は幸せを感じる。



「…そうだ、知沙。今日って何してる?」



「今日…?今日は、お昼頃から朱里と会う約束してるよ?」


カフェオレを一口飲んだ彼は、そう聞いてくる。
私はトーストを少しかじって、それに答えた。



「朱里ちゃん…?てか今、何ヶ月だっけ?」



「もうすぐ、4ヶ月だよ。」



「そっか。元気してる?」



「んー…。つわりが酷いみたいで…辛そうだった。」


合間合間、お互いに朝食を摂りながらの会話。



聡さんの会社の後輩でもある朱里は妊娠を機に会社を退社した。

それが私たちの結婚式よりも前だったから、そこで急に聡さんが“朱里ちゃん”と呼んだことには、みんなが驚いた。
“もう結婚して沢松さんじゃないし、会社も退職したから…その方がいいかなっと思って。”って言われたんだっけ…。





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