初恋は涙色に輝く…

#8 体育大会



それからの生活はとてもあっという間で、どんどんと過ぎていく時間に私はちゃんと乗れているのか、不安になることもあった。


蓮斗君と話していたり、学級委員の仕事をしていたり。

なかなか充実した時間だったと思う。


それでも、1人になったり、なにもしてなかったりしたときに、必ずと言って良いほど思い浮かぶ、隆太さんの笑顔。


それを思い出す度に、私は結局あの頃から進めていないんだなって、嫌になるんだ。


始業式の日に瑞穂は、「忘れなくてもいい」そう言ってくれたけど、私は『忘れたい』と思い始めていた。


どうせ、この恋が叶うことなんてもうない。

そんなんだったら、早く忘れて、新しい恋をしたいんだって。


初恋は叶わないって、言うしね。

いつまでも好きでいたって。いいことなんてないのに……。


……なんで、忘れられないんだろう…。



季節は夏。隆太さんと出会うきっかけとなった体育大会の時期だ。


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