生徒だけど寮母やります!⁑

ライを守ります!



翌日 朝


私が登校すると、既に鈴菜ちゃんは席について読書をしていた


「おはよ、景ちゃん」


登校した景に気付いて、鈴菜は本から顔を上げてにこりと挨拶する


「おはよう鈴菜ちゃん」


「なあ景ちゃん」


「ん?」


私は机に鞄を置きながら、鈴菜の法を向いて首を傾げた


「朝食のとき、探したんやけど」

「えっ?」


朝食のとき探した?


私は一瞬考え、意味を理解する


あぁ......私をか


今朝、女子寮の食堂で私を探してくれたということだろう


「まあ時間帯で区切られてるとはいえ何百人おるし。見つからないかなーとも思ったんやけど、やっぱ見つからなかったわ」


肩をすくめてそう言う鈴菜に、景はなんと返せばいいのか開きかけた口を閉じた


朝は男子寮Bにいること

言ってないんだよなぁ



「なんせまだ友達が少ないから、一緒に食べようって誘っとけばよかったな」


鈴菜はエヘヘと笑う


なんか、騙してるみたいで心苦しい



「実は、朝食、食堂で食べてないんだ」

景が恐る恐る口を開くと、鈴菜はぽかんと口を開き

「何で?」

と首をかしげた


「あ......えと」


「あ、いや、ごめんな。言いにくいことくらいあるよな。分かった。もし一緒にご飯食べれるようなことがあれば、また誘って!」


「鈴菜ちゃん......」


こうして言葉を濁したにもかかわらず

気を使ってくれるなんて


鈴菜はとても優しい人だ


この人が昨日、ライの負担を減らしたのも納得しちゃうなぁ


「ありがとう!そうするね」


「うん!」


別に隠すことではないんだけど


隠し事をしているのは私だから




そうやって優しくされると少し

心が痛いけれど



少し心が暖かくなった

< 39 / 388 >

この作品をシェア

pagetop