薫子様、一大事でございます!

思わぬ拾いモノ



「それでは行くといたしましょうか」


午後8時。

滝山と二人、モモちゃんを探すべく事務所を後にした。


犬も猫も亀も、今まで捜索依頼のあった動物は、ことごとく見つけられなかったけれど、ここらでそろそろ実績を作っておかないとどうにもやりきれない。

モモちゃんの捕獲は、私たち二人の切なる願いだった。


猫は夜行性。
探すならば、活動的な夜だろう。

滝山の判断に従い、夜の中へと足を進める。


けれど、いつものごとく、どこをどう探したらいいのか、まったく見当もつかないのだった。


「モモちゃーん」


なんとはなしに名前を呼んでみたところで、返事をしてくれるわけもなく。

< 18 / 531 >

この作品をシェア

pagetop