愛していると言わないで。
~桜~出逢いの季節

この人不審者です。

春、といえば入学、卒業の季節。

私香賢莉緒(コウサカリオ)も例にもれず、今日は入学式。

「ねぇねえ!」

「クラス一緒だったねーっ!」

嬉しそうにはしゃぐ声を背中で聞きながら、私は思う。

「馬鹿らしい。」

そう呟く私の顔は、くっきりとした睫毛に赤い唇、

ほんのり上気してピンク色に染まった頬と、

正にトップカーストに君臨する子に見えると思う。

それでいい。それが私の、鎧だから。

「……こっち?」

うろうろとしながら、辺りを見回す。

そこには、やたら綺麗な庭が広がっているだけで、今来た道も分からなくなりそうだった。

迷ったかもしれない。今、入学式に出席するために講堂に行こうとしてたのに。

「どうしよう……」

もういっそ、サボっちゃおっかな。
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