かたつむり

口笛とバス停3


「名前、なんていうの?」



「....紗奈」

私は少し間をあけて言った。

「紗奈は毎日散歩してるの?」

「はい」

(いきなり呼び捨てかこの人...!)

「じゃあこの道はあまり通らないわけだね」

「そう...ですよ、なんでわかったんですか?」

年上か同い年かわからない私は

少しとまどいつつ敬語を使った。
たぶん年下ではない。

「僕もいつもここに来てるからね」

「そうなんですか...あの、何歳ですか」

年上か同い年か

はっきりさせたかった私は

思いきって聞いてみた。

「17だよ」

(私より年上だ)

私は16だ

「私より1個上ですね」

「ほんと?でも敬語じゃなくていいよ
 僕、敬語で話されるの苦手なんだ」

学校では先輩、後輩関係があって

自然と敬語が染み付いてる私には

それがひっかかった、が

またあの少年の優しく、甘い声と表情に

コントロールされたかのように

「...わかった」

といってしまった。

そんな自分が恥ずかしくもどかしかった。


















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