そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~

●イジメられる門には福来る?

・・・結局。

昨日は初出勤にもかかわらず、

仕事が終わったのは夜の10時を回っていた。

帰るころには、私と彬の二人になっていた。

…私が帰っても、彬は帰る素振りすらしなかったけど、

何時家に帰ったのか?

そんな事を思いながら、朝一番乗りで出勤した。


…だって、新人が遅刻なんてありえないでしょう?


「…ワッ!…ビックリした」

「・・・」

私の横のデスクで誰かが眠っていたのだ。

よくよく覗き込んで見て見ると、・・・彬だった。


「ちょ、ちょっと、澤田さん、起きてください、朝ですよ。

って言うか、もうすぐ皆出社してきますよ」

そう言いながら揺さぶって起こす。

するとようやくむくっと起き上がった彬が私の方を見た。

・・・怖いよ、寝起きの顔。


「…ちょっと、一旦家に帰ってくるわ」

「へ?」

「大事なプレゼンがあんのに、この格好不味いだろ?」

「・・・た、確かに」
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