理想の都世知歩さんは、

ぱんつ切欠







――都世地歩さんが隣に居なくなってから二ヶ月が経った。






驚いたこともあった。



「かえりたい」って思った、仕事からの帰り道。



何処に?と。


考える余裕もなかった。


自分が変な表情を浮かべていると解ってしまったから。考えるよりも先に。



都世地歩さんのご飯が食べたいと思った。

兄ちゃんに料理が上達した気がすると言われた時、都世地歩さんのご飯の方が美味しいと思っていた。


全く違う所に住んでいるのに、何処も彼処も都世地歩さんばかり。


例えば家事全般出来る男な兄ちゃんが、ヒモじゃないけれどヒモスキルの異常に高い兄ちゃんが、私が越してきて間もない頃、洗濯機の前で立ち止まっていた。

どうやら、私の下着も普通に洗濯していいのか迷ったらしい。

あの人はというと、初めの頃、当然のように煙草を咥えながらポイポイ私の下着を洗濯機に投げ入れていた。


ヒモスキルが高い兄ちゃんも異常かもしれないけど、お皿洗いの当番を眠たいだとか忘れただとかで怠った場合、代わりに洗ったりもしなかったあの人。

翌日の朝部屋に勝手に入って来て、寝ている私の上に平然と馬乗り。

飛び起きる私に一言。


『なァ。俺のマグ何処?』


あれには有無を言わせない力があった。


だけど凄くたまに、“疲れた”以外の“へこんだ”ときに限って何故か簡単に当番を請け負ってくれていたりするのだ、彼は。


そういうところがやっぱり、狡いよなぁと小さく笑ってしまう。



結局、


つまるところ。



だいすきだ。





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