年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~

4



ナチュラル感溢れる珪藻土の塗り壁、照明はあえてレトロな雰囲気で、要所で間接照明を取り入れる。
造作家具は木の風合いを生かしたもの、グリーンを散りばめて、オリジナリティを出すためにオーナーが拾ってきた流木をどこかに利用できれば……。


高城さんのカフェの打ち合わせも、終盤に差し掛かっていた。


小川さんとも何度も話し合って、高城さんとも素材見本を提示したりしながら、具体的に詰めていく。

中央に置かれるメインテーブルは大きな一枚板を使った自然の造形を生かしたもの、洗面所や入口にも大工さんによる手作りの家具が使われる。その他の家具も何件もショップを実際に見て回って、イメージに合うように吟味を重ねる。


大輔くんも祥裄も、返事は急がないと言ってくれたことをいいことに、私は一旦棚上げさせてもらった。まずは目の前のことに全力を注ごうと、仕事に没頭する。


祥裄と別れてから絵里ちゃんは、ずっと元気がないままだった。

祥裄が私に言い寄ってきていることはまだ知らされていないのか、私に対して何かを言ってくることもなく、突っかかるような態度を取ることもなかった。ただただショボンとしていて、周りにも落ち込んでいることは一目で伝わる。
ああこれは破局したんだな、と誰もが気付いて、興味の目は私にも向けられたけど、私は何も関係ないフリを貫いた。
< 150 / 462 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop