これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
第四章 side 恵

①ランチタイムをご一緒に

「やっぱり外で食べるには、暑すぎたか……」

 九月になってもまだ元気に鳴いている蝉の音をバックに、コンビニの袋からおにぎりを取りだした。

 ランチの時間。私は社員食堂や先輩とのランチよりも、勇矢さんと出会った公園でひとり食事をすることが多かった。

 お気に入りのとり五目おにぎりの包みを丁寧に取った。

「ずいぶん上手くできるようになったな」

 急に声をかけられて、ほおばろうとしていたおにぎりを落としそうになる。

「ひゃっ!」

「お、おい。大丈夫か?」

 顔をあげるとそこには勇矢さんの姿があった。

「大丈夫です。急に声をかけられたから」

 本当に神出鬼没というか、いつも気が付かないうちに近くにいるんだから。

 何度も同じ経験をしているのに、毎回彼の気配に気が付けないのはどうしてだろう?

 ベンチに座っている私の横に、勇矢さんが腰掛けた。

「今日もおにぎり?」

「はい。あ、でも手巻き寿司にも最近はまってるんです」

 ビニール袋の中から、エビアボカドと書かれた包みを見せた。
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