クールな先輩の心を奪う方法

いつも通り、身の回りの事をこなしたけど、食欲だけはどうしてもわかず、そのままベッドに潜り込んだ。

…目をつぶっても、保田さんの顔が浮かんで離れない。

目を開ければ、涙が浮かぶ。

私はどうしたらいいのか。

「…保田さん…保田、さん」
愛しい人の名を何度も呟く。

…真相を聞けばいいのに、聞く勇気もない、弱い私。

…もう、一緒にいる勇気もない。

…ピンポン!
突然チャイムの音がした。

こんな時間に誰が?
そうは思っても、出る気にもならない。

何度もチャイムの音がしたが、それでも私は出なかった。

…諦めたのか、
チャイムの音が消えて、静かになった。

ホッと溜息をついた。

「…美雨」
「…⁈」

玄関の方から、声が聞こえたような気がした。
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