好きになんてなるわけねーだろ!!!

#5 大きな背中



5月中旬。とある日曜日。


「杏奈!!!」

『…んーー、なにーー?』


裕太に叩き起こされて、私はスマホで時間を確認する。

時刻は9時。

平日ならばとっくに遅刻だけど、今日は日曜日。

休日は、朝を寝て過ごす私にとってこの時間に起こされることは大きな衝撃なのです。


「居間の机に置き手紙が!!!」


ばっと、つきだされた紙切れを受け取り目を通す。


《親愛なる我が子へ。
新緑が美しい季節ね。

ということで、突然ですが景色が綺麗な温泉へ行ってきます。
もちろん、光輝くんのパパとママも一緒よ。

どっちかの家にみんなでいてもいいし、いつも通りでもいいわ。
留守の間、好きなようにしていて。

ご飯も、戸棚にお金を置いていくので自由にどうぞ。

お土産たくさん買ってくるからね。
突然の外泊を許してちょーだい。》


……自由すぎるでしょ。

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