あなたと恋の始め方①

スクランブル

『美羽ちゃん。こんばんわ。美羽ちゃんがこのメールを見る頃は仕事が終わって帰ってきた頃だと思って書いてます。今日の仕事はどうだった?美羽ちゃんの事だから頑張りすぎてないか心配しているよ。仕事を頑張る美羽ちゃんも好きだけど、身体を壊したらダメだからね。休むことも大事だから。

 さて、実は今週末から日本に帰国することになりました。東京での仕事が終わったら、静岡に行く予定にしています。静岡研究所で視察をして、静岡支社にも行く予定。久しぶりに美羽ちゃんに会えるのを楽しみにしています。その時に蒼空のことはゆっくりと詳しく聞くから覚悟しておいて。

 この頃はコンパも行ってないようだし、外泊もしてないみたいだから、安心しているよ。俺を心配させないように。じゃあ、会えるのを楽しみにしている。 折戸翔』

 
 メールを読みながら溜め息を零してしまう。私は心配されているようなことはしているつもりないのに…。折戸さんの指摘は結構細かい。それも全部私の事を心配してくれるからと分かっているけど、どうも徐々に『過保護度』は増しているようだ。



 それに詳しく聞くも何も小林さんとは食事には行くけど、それ以上の進展はない。勿論、色々な助言も実行されてない。


「何も報告できないって言ったら怒るかしら?」


 そんな呟きが私の部屋の天井に消える。もう少し自分に自信が持てればいいのかもしれないけど、私は研究にしか興味を示さずに生きてきた。


 今時の女の子の恋愛事情なんか分からないし、友達と恋人の境界線が分からない。私と小林さんの関係はなんと表現したらいいのだろう。難しすぎる。

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