ある男の子と女の子の秘密のお話

はじめての彼氏


お父さんと小さい頃
手を繋いだ感覚とも違って

本当に恋人同士しか
でいない握り方・・・


恋人繋ぎをした途端に…
哲郎の、歩く速度が遅くなった





「ヒカリの手…
細いんだけど、柔らかい」





「哲郎の手は大きくて
がっしりしてる…!
意外だったなぁ。」




「意外だった?」




「うん、もっと
細いイメージだったw
背か高いからかな?」




「サッカーでいつも
ボール触ってるから
ごつくなったのかな?
気持ち悪い?俺の手」





「まさか!あったかくて
大きくて安心する」





哲郎は
繋いだ手をギュッと握った

お互いの指の感覚を
確かめるように


指を何度か入れ変えたり
指を、指で撫でたりして


手を繋ぐだけで
お互いの気持ちを
確かめている時間のように感じた。

哲郎がボソッとつぶやいた





「俺…もっとはやく
ヒカリに告白すればよかった」




「えっ?どうしたの今頃…」




「だって…ヒカリ
前の彼氏さんののこと
あんまり
好きじゃなかったんだよね?」






「うーーん…
好きとか、ドキドキした事とかが
なかったから…私
付き合っていても
まぁこんなものか?
とか…考えてたかなぁ」




返事に少し時間があく哲郎





「俺と…
手を繋いだら
ドキドキしてる?」





「うん、すごく
ドキドキしてる」




「普通に、
軽く手を繋いだことはあるの?」




「他の男の子の人ってこと?
うーん、何回かはある…」

 


なんだか、心が
ザワザワしてくるのを感じた…


何かがこみ上げてくるのを
必死で我慢していた…




 
「ギュッとかは
したことあるの?」





「ギュは…哲郎がはじめて。
この間、言ったよね?
哲郎がはじめてだよ」





「そうか…
ギュッと、恋人つなぎは
俺が1番か!なんか…
はじめてって、嬉しい!」







なんだろう…
一気に、感情がこみ上げてきた


止めようとしたけど
涙が、ポロポロと溢れてきた


急に立ち止まった、私の顔を見て
哲郎はすごく…驚いてた






「ちょ、ヒカリ!?
何で泣いてるの?」






哲郎は、私を、人目につかない
道路の端ほうに座らせた


泣きたくないのに
涙が止まらない…


でも、声を出して
泣くわけでもない


ただ、ただ、

涙が次々と溢れてきて
止まらなかった






「ヒカリ…
心配するよ…どうしたの?」






泣いてばかりで
返事もしない私に

哲郎が困っているのが
良くわかった


思いついた言葉を
絞り出すように言った…





「私……知らなかったの
哲郎が…私を2年間も
見てくれていたこと。
本当に知らなかった…
私、鈍感だから」





「うん」





「哲郎のことも
知らなかったし
ドキドキすることも…知らなかった
私は、自分が付き合っている人とも
何かが違ってる気がして…
いつも悩んでた」





「うん」





「私は、手も繋いだこともあるし
キスしたこともある…
いや、キスされたこともある。」




「………」






「でも、その人と
手を繋ぎたかった訳じゃない
キスされたかった訳でもない
予想もしてなくて
びっくりして、気持ち悪かったの
気持ちが悪いキス。」





「そうなの?!」





「この人、なんでいきなり
私に、キスしたり
するんだろう?って
私が、簡単にキスできる女の子に
見えなのかな?って
私に、スキが多すぎるのかな?って」





「スキだらけの
女の子だなんて
俺は思ってないよ…
ヒカリのこと」





涙は、止まるどころか
さらに溢れてきた

哲郎はスポーツタオルを
私に握らせた…






「タオル汚れてるけど
ヒカリ…話して」






「私、今までの
自分が大嫌いなの!!
あの時、呼び出されても…
私が、行かなければ
キスなんてされなかった
いきなり、手を握られたりも
されなかった」







言葉が溢れて止まらない


哲郎はじっと
私の顔を真剣に見てる

目を合わせられい

自分の過去に後悔…


………………………………




昨日は、シャワーも浴びないまま
眠ってしまった

起きたらまだ朝早くて・・・
また、ヘッドに潜り込んだ

昨日、哲郎に吐き出してしまった
私の心の中の毒は

自分を正当化するような言葉ばかり
言ってしまった事に後悔した

哲郎には誤解されたくない自分に
はじめて気がついた

自分自信が
過去を整理できていない・・・


こんな私で
恋愛なんてできるのかな?

私に、彼氏ができた日は

はじめて男の人の前で泣いた日に
なってしまった。


リビングが、静かになったので
シャワーを浴びるのに降りて行く

腫れぼったい目!!

これじゃぁ
哲郎に会えないし、話せない

顔をマッサージしたら
少しはマシになった…?


パンをかじりながら
冷蔵庫を開ける 

野菜室に残っていた野菜とミンチで
コロッケを作ることにした


作り終わると
自分の部屋に戻り

髪は、高い位置でキチンとまとめた

コロッケが出来上がる頃には
もう、お昼をすぎていて

自分の部屋に戻って
クローゼットを開けて


昨日とは正反対の、露出のない
ロング丈のワンピースを選んだ

部屋に置いていた
お気に入りのブランケットも
小さくたたみバックに入れる

コロッケも2つだけ入れた。

昨日までと同じ
駅までの道なのに


足取りが重くて、
重くて…駅が遠く感じる

ホームの入り口が見えて来た頃






「ヒカリ!!」





って、哲郎の声がした・・・

振り向くと
哲郎がベンチに座っる





「あれ?部活は?」






「お腹痛くて…早退w
なんちゃって…嘘
はやくヒカリに会いたかっただけw」





哲郎は私の荷物を取って
自分の肩にかけた…





「ヒカリ…行こう」





手を差し出されたから…
私も哲郎の手を握った…


哲郎は、すぐに…
恋人繋ぎに握り変えて


ニコニコしながら
ゆっくりと歩き出した




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