私の王子様を見つけました
★★

私の商品価値

社長と同居も何とか保ちつつ、モデルの仕事をこなしていた。


直人さんはいつの間にか私のマネージャーにおさまっていて、ほとんど同じ時間を過ごしている。


直人さんの元妻が三枝木美奈さんだなんて、意外だ。


直人さんは奈美さんに未練たらたらで、奈美さんはそんな直人さんを無視し続けてるけど。


奈美さんも直人さんを嫌ってる様子もないし、何となく良い感じではないかと思う。


3月だと言っても肌寒くて、寒がりの私は冬服を手放せない。


この寒さの中、今日は外で下着の撮影。



寒くて震えが止まらないのに、羽織ってたコートを無惨に社長に脱がされた。


今日はスポンサーの女社長も来ていて、ずっと睨まれてる感じがするんですけど。


社長と私はやましい関係でなく、同居はしてるが社長は部屋に帰ってくるのは夜中で、私は寝てるし。



同居して一ヶ月以上たつけど、全く会話もない。


直人さんと一緒に食事を作ったり、買い物もしたり、直人さんといると本当に楽しい。


直人さんが生姜紅茶を作ってくれた。



「これ飲むと体が暖まるぞ。」



「直人さんいつもありがとう。」


社員にも直人さんみたいな優しさがあれば。


「いつまでもくだらないことやってるなよ。今日は三南貝社長も来てるし、気合いを入れてやるぞ。」



は~い。


それにしても寒い。


素足になって森の中を歩く。


いたたた。


足に何か刺さったみたいだけど、こんな事に負けたりしない。


笑顔を作りながら、森の中を進む。


朝日を浴び小鳥のさえずりに耳を傾けながら、楽しい事を考えよう。


モデルの仕事が出来るだけでも幸せだ。


コンビニの店長どうしてるかな?


会いたいな。


コンビニのおでんが食べたい。


うふ。


森の空気を思いきり吸い込んだ。


「休憩に入るぞ。」


直人さんが近付いて来て、コートをかけてくれた。


「真凛、足大丈夫か。」


痛いです。


「おまえは何処までバカなんだ。」


いきなり社長に抱き上げられた。


下ろしてよ。


「拓斗、何してるの。その女は何なのよ。」


「彼女は大切なルミエルの商品だから、げがをされたら困るんだよ。」


そうです。


私は大切な商品でした。


「ごめんなさい。」


社長がおまえは悪くないと言ったような気がしたけど。


「たとえその女が商品だとしても、他の女に触れるのは許さない。」


社長は無言のまま、私を抱き上げて歩く。


気まずい。


気まず過ぎて足だけでなく、心も痛んだ。


社長の腕を無理矢理振り払うとドスンと地面に落ちる。


痛い足を引きづりながら、無言のまま歩いた。




















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