卯月の恋
皐月

笑ってくれるなら

五月になった。

手作り焼売も、ミネストローネも、ちょっと頑張って作ったちらし寿司も、玲音は毎回「うま…」と言いながら、食べてくれた。

食べたあとは、しばらく私の髪をさわったり、キリコの話をして帰る。


玲音のこと、本当はもっと知りたいのに、私は聞けないままでいる。

一歩、踏み込めない何かが玲音にはあって、隣にいるのにいつも距離を感じる。

それでも、細い細い糸で繋がってるみたいな関係を壊したくなくて、臆病な私は今日も何も聞けずに玲音を見送った。


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