届屋ぎんかの怪異譚
✿二、積もる白雪に足跡を


✿二、積もる白雪に足跡を

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ほくほくのごはん。あつあつのお味噌汁。おいしいお漬物。


目の前に は糺の呑気な笑顔。



「いやぁ、誰かと一緒に朝ごはんってのもいいねぇ」



ほくほく笑う糺に、銀花は笑みを返す。



知人にお漬物をいただいたから一緒に朝ごはんを食べよう、と糺に誘われ、銀花は今、糺の家にお邪魔しているのだ。



(糺さんとご飯を食べられるのは嬉しい。けど……)



銀花はちらりと目線を右に向ける。


たった一瞬のその視線に目ざとく気付いて、隣の男の眉間にしわが一つ増えた。



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