総長からの「愛してる」Ⅱ
聞こえない声
《side 海斗》
『絶句』
その一言に尽きる光景。
久しぶりに入る廉の部屋は、たった一人の女の存在だけで違うものになっていた。
モノクロ調で家具も少なく、わりとシンプルな部屋。
広いから家具一つ一つがデカかったりするけど、物が少ないからゴチャゴチャしていない。
前行った時から、物は何も変わってない。
相変わらず綺麗な部屋は、何も変わってないはずなのに。
「……なんだよ、これ。」
キングサイズのベッドで寝ているあの女を見た瞬間。
部屋のオーラが変わった。
おしゃれに見えていたはずなのに……なぜか酷く暗い。
いきなり黒だけ濃くなったような感じだ。