麗雪神話~炎の美青年~

活気あふれる店内。

注文を聞く声や男たちが笑い合う声、酒と香ばしい料理の匂いに満ちている。

そんな中、セレイアはメニュー表と格闘していた。

「この文字、なんて読むのかしら…意味はソテー、で合ってるのかな~」

ここの民もトリステアの民も、もとを正せば千の島々と呼ばれる原初の諸島から、新世界を求めて大陸に渡ってきた英雄グラジアの子孫だ。ゆえにアル=ラガハテスは基本的にトリステアと同じ言語を使うが、表記する文字にじゃっかん違いがある。

「多分…。でも、牛肉料理が多いんだね」

「牛肉はここの特産だもの。ステーキもあるし、燻製もあるわよ、どうする?」

「俺は…あまりあたたかくないものがいいけど」

「冷ましてから食べれば問題ないわ」

二人は牛肉のステーキと燻製、サラダを頼み、飲み物は酒を控え、果物のジュースにした。

しばらくして目の前に並べられた料理は、どれも特大のボリュームで驚いた。

さすがこの国が誇る肉牛、ジューシィでうまみたっぷり、異国風の変わった味のソースが絶妙で、とても美味だ。

しかし店内が活気のせいもありとても暑いため。冷たい果物ジュースが何よりもおいしく感じられた。

「はいはい皆様お待たせいたしました!
今宵の催しは“ナイフ投げ”!
見事な技をお見せしますよ! さあ、注目注目!」

急に店主とおぼしき男性が声を張り上げ始めたので、何事かと二人はそちらを見やる。
< 19 / 176 >

この作品をシェア

pagetop