麗雪神話~炎の美青年~

アル=ハルの天幕にたどりつくと、如才ないカティリナによって、酒と菓子が再び用意された。今度はブレイズの分もある。セレイアは気弱そうなこの青年も父親と同じで酒に強いのかと興味津々でみつめていたが、彼は予想通りちびちびと口をつけるだけだった。

皆が飲み物に口をつけたのをみはからったところで、アル=ハルが口を開いた。

「頼みと言うのはずばり、これからある旅に出なければならないこのブレイズの、護衛となってほしいということなのです」

「ある旅…ですか」

「ええ。恥を忍んで、お願いしたく」

「どのような旅なのですか」

「いきさつを詳しくご説明しましょう」

アル=ハルが姿勢を正し、セレイアとディセルの目をまっすぐにみつめた。
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