ありふれた恋でいいから

晒された真実がもたらすもの

「脩二!」

それは高校時代の友達に初詣へ行こうと誘われた大晦日の夜。

待ち合わせの場所で最初に俺に声をかけてきたのは、卒業以来久しぶりに会ったコウで。
その手をしっかりと握っている、少し気まずそうな顔をした吉田の姿に驚いたけど。

ああ、そう言えば。
二人が付き合っているとか噂で聞いたっけ、と頭の片隅に追いやっていた記憶を引き戻す。

「久しぶりだよな。夏休み帰ってこなかったじゃん」

だらだらと動き出した神社へ向かう集団の中、コウは懐かしそうに俺に話しかけてきた。

先ほどまでコウにぴったりくっついていた吉田は、他に来ていた女友達と連れ立って歩いていて。

「ああ…バイトとか忙しくて」

そのことに少し安堵して久しぶりの友達との会話に口許を緩めた。
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