愛かわらずな毎日が。
・はじまりのとき。
「恋愛運、ハート4つだって!」
机の上に広げた雑誌の占いを、自分のことのように目を輝かせながら読み上げる香織。
「良かったですね。素敵な出会い、だって!
うらやましーっ」
コンビニで買ってきたサンドイッチ片手に香織の雑誌を覗き込む森下。
「べつに。私、占いとか信じてないもん。
『運命的な出会いが』なんて書いてあっても、
一度も出会ったためしがないから」
給料日まであと2日。
今月はなにかと出費がかさみ、コンビニ弁当にも手が出せず、母親に頼んでにぎってもらったおにぎりにかぶりつく私。
先月号には確か、『臨時収入が期待できる』と書いてあったはずなんだけど。
そんなことを考えながらもぐもぐと口を動かしていると、
「信じてないとか言って。間宮さんていつも、真っ先に占いのページ、見てるじゃないですか」
森下がそう言ってニヤリと笑った。
「ぷっ、」
森下の横で、吹き出しそうになった香織が両手で口を押さえている。
「こっ…、今月から見ないことにしたの!」
そう言ってかぶりついたおにぎりから梅干しのたねが顔をだした。