ごめん、好きすぎて無理。

サヨナラと告げる





まだお昼にもなっていない、この時間から俺たちはホテルを探す。



海沿いの道を少し歩いた所にお世辞にもあまり綺麗とは言えないようなホテルを一件見つけ、俺たちはそこに入った。





何故、こんなことになってしまったんだろう…


どうして海を裏切る真似を俺は自らの手で行おうとしてるんだろう…



それでもこれは海の為だと、海と紗奈の為だと、何度も何度も自分に言い聞かせた。







そんな俺とは打って変わって冷静な紗奈は部屋に入るなり、俺に抱きつき、そして涙を流した。






『紗奈……今ならなかったことに出来る、だから……』



『怖いんじゃない、裏切ることへの罪悪感なんかじゃない……この涙は陸にもう一度愛されることができる、その喜びの涙だよ…?』






そう言って、紗奈はあの日のように俺をベッドまで誘導し、そして俺を押し倒した。








『……陸、好き…大好きだよ……。
 だから、私を抱いて……』




紗奈の目からはいくつもの涙が溢れているのに、それでも紗奈は先へ先へと促す。









『陸、ありがとう……』



紗奈のその一言を聞いて、俺らは再び、抱き合ったー…




あの頃のように抱きたい、抱かれたい、その想いが両者にあるわけでもないのにー…

























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