Secret Mission

305室の住民



繁華街から出たあと、瑞稀は依頼人が用意してくれたマンションにいた。


「……でっか…。安もので良かったんだけどな…。」


ぶつぶつと文句を言いながらも、こんなに豪華な場所に住めるとは思ってなかったためか、気分があがる。


―――まずは部屋に行くか。305だったよな…3階か、良かった。高いとこは好きだけど…時間ロスだ。


エレベーターがあったとしても、30階から1階に降りるには結構な時間を消費する。もし寝坊することがあれば遅刻決定だろう。


そんなことを思いながら、足を進めていると、部屋についた。

もらった鍵を差し込み、回す。


―――カチャッ…。


しっかりと、鍵を抜き部屋の扉を開く。


脱いだ靴を揃えながら部屋を見渡す。

白い壁に、フローリング。前にも人が住んでいたはずなのに新築と言えるほど綺麗になっている。

リビングに足を進めながら、ポツリと呟く。


「すげえな…。」


リビングのソファーにドカッと座りながら、キョロキョロとあたりを見回してしまう。


「今日からここに住むのか…。慣れるかな。」


テレビをつけようと思いリモコンを取ろうとした時、あることを思い出す。


『詳しいことは部屋にあるファイルを見ておいてくれ。』


確かに依頼人はそう言っていた。

ならば、どこかに資料があるのでは?

そう思い、立ち上がる。


「リビングにはない…それなら、どこかの部屋か…。」


部屋を調べる為、いくつかある扉の一つを選んだ。


開けてみるが、ただパソコンとベッドが置かれているだけ。


「スカか…。」


舌打ちをしながら、他の部屋を調べる。


だが、どこにも資料は無かった。



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