年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~

6

◆ 

綾川さんのナビ通りに会場から少し離れたところに車をとめて、そこから歩いて会場に向かう。
会場になる海岸に近づくにつれ、人がだんだん多くなる。会場付近は通行止めになっていて、その周囲の臨時の駐車場はどこもいっぱいのようだった。

出発してから途中コンビニに寄ったりして、一時間半くらいの小旅行。四人で一台の車に乗って移動するのは遠足みたいな感覚で、みんなどことなくはしゃいでいた。

一番楽しそうにしていたのは助手席の綾川さんで、話が弾むと振り返って後部座席に身を乗り出しては、おとなしく前を向いてろと隣のタケさんに叱られていた。
店での綾川さんはどちらかと言うと落ち着いた印象だったので、普段はこんな感じなのかと少し驚いた。
それともタケさんと一緒にいるから、なのかな。

まだ太陽は沈みきっていなくて、辺りは夏の夕暮れらしく、オレンジ色に染まっている。昔ながらの商店街のようなところを抜けて海岸に向かうのだけど、そうやって夕焼けに染まっている光景はどこか懐かしさを感じた。

しばらく歩くと道の両側に屋台がたくさん並んでいるのが見えてきた。浴衣姿の人もたくさんいて、小さい頃に行った田舎の夏祭りを思い出す。
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