プリキス!!

貴方は悪魔







沈黙を破ったのは、私だった。




「あの……わざわざ本当すみません。」


「この辺は物騒ですし女の子1人じゃ危ないですし。気にしないでください。」



隣にいるのは、髪を青く染めてるヤンキーさん。

名前は確か……トモヒサさん。

時刻は7時を少し回ったところ。

トモヒサさんに、家まで送ってもらっています。






遡ること十分前────



「烏丸はそろそろ帰らないとね。夜は暗いし。」


ふと腕に輝く高級そうな時計を見て、橘は言った。



「俺、送ってく。行成、後は任せ「送ったら帰ってこないつもりでしょ。ダメ。」」


「俺に命令出来ると思ってる?“副総長”。」


「ああ……じゃあ“お願い”ならいいんだね?」




この二人は、仲は悪くない。


けど、たまに一触即発な空気を生み出す。


別に送りは要らないよ!と言ったんだけど、全く耳を貸してくれない。


しばらくにらみ合って、チッ、と舌打ちしたのは恵だった。





「じゃあ……智久。」

「は!?俺ですか?!」



ぐるりと周りを見渡した恵は、トモヒサという名前を呼んで。



「愛し合ってる彼女いるんでしょ?」

「は、はい。」


なら安心だ、と恵は私の手を取って歩き始める。




「烏丸、またね。」


「え、うん。ばいばい。お邪魔しました。」


「智久、ついてきなよ。」



そうして、ちゃんと送り届けてよ、とトモヒサさんは恵に背中を蹴られて、旧校舎から飛び出すように出た。




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