プリキス!!

FIGHTER!!




「おい、蛍、彼女かぁ?」

「お熱いことで~。」




「うるさいっすよ、先輩。美琴先輩のお客さんですって!」




とまぁこの通りです。





道行く私達にヤンキー達は次々と話しかけてくる。

話しかけてくるっていうか、冷やかしてくるの方が近いよね。


そんなヤンキーに丁寧に返事を返す片桐君。







「初伊先輩、大丈夫です?怖いです?」


「大丈夫。最近怒涛のヤンキーラッシュで慣れたよ。」





というかこの四日間、有り得ない出来事ばかり起こってる。


“東西南北に関わるべからず”




ええ、知ってますよ。

分かってます。分かってますよ!


だってクイーン・烏丸志乃の妹だもん!





お姉ちゃんの迷惑にならないようにしよう。


入学する前から、そうやって決めてた。


だから橘と恵が中央高校である紫翠男子校に入らなかった時点で、これからは仲良く出来ないかもなぁ、なんてしょんぼりしてた。


橘に会うのも入学してから我慢してた。

恵は高校に入ってからも中学時代と同じように家に侵入してきてたから何とも言えないけど、この一ヶ月間はちゃんと校則を守ってきたし、これからも守り続ける予定だった。






まだ五月。


春の風と、夏の予感が入り混じる季節。


GWも過ぎ、学校にも慣れてきて、気が緩んでたのがいけなかったのか。





西──南──そして、東に出会ってしまった。



しかも何故かいずれも総長、副総長。



予定していた平穏が、まさか1ヶ月で崩れるとは想像もしていなかった。




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