課長さんはイジワル2

第10節 弱さと強さ

ノリの……



ノリのおばあちゃんが……死んだ?




おばあちゃんっ子だったノリが誰よりも大切にしていたおばあちゃんが……



『ほじゃけど、ばぁちゃんがボケて来ちまって……。

家族みんなで支えんばいかんけん……。

今は言い出せん……』



ノリと最期に交わした言葉を今でも鮮明に思い出す。



「愛?聞いっととね?」

「えっ?あ……」

「これから、通夜じゃ葬式じゃっゆうて忙しゅうなるけんね。

木村さんとこに手伝い行ってくるさ。

ところで、愛、あんたの足の話しの方はどがんなっとっとね?」


かぁちゃんの不意打ちの質問に胸がドクンと鳴る。


「あ……どうなるかは、まだ……ちょっとわかんな……」



わかんない。


どうやって課長が6,000万円ものお金を私の足の治療のために用意してくれたのか。



どうして……こんな大金……。

それに私にこのこと、なんで一言も課長が話してくれなかったのかも……。


なんで?

そんなの、全然わかんないよ。




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