若き店主と囚われの薔薇

これから、友人、想いを託して



夢を見た。

以前にも見た、あの白い世界の夢だった。


クエイトはやはり、遠くにいて。

確かにこちらを向いて、微笑んでいる。

ふいにまた、辺りが闇に包まれると、目の前に白い一本道が現れた。


私はそれを頼りに、彼のもとへ走り出す。

今度は途中で消えることなく、彼のそばまでたどり着くことができた。


「よく頑張ったね、ロジンカ」


そう言って、彼に頭を優しく撫でられる。

私は嬉しくて、その懐かしさに泣きたくなって。

ごまかすように下を向いて、小さく笑った。


…クエイト様。

私はあなたを永遠に、愛しています。


「…僕もだよ、ロジンカ」


その言葉に顔を上げると、彼は眉を寄せて、何故か辛そうに微笑んでいた。

…どうして、そんな顔をなさるの?



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