愛かわらずな毎日が。

・なにがあっても。


「久しぶり。元気してた?」

右手を挙げ、にこやかな表情で私を見る男。

ほどよく色落ちしたジーンズのポケットに左手の親指を引っ掛け、どこかイケメン気取りのその男は。


「……み、つ……ひろ」


1年と8ヶ月前、私を捨てた男だ。


どうして。

どうして、ここに。


「なん、で………?」


「このすぐ近くで飲み会があってさ。少し時間があったから、寄ってみた」

困惑する私とは対照的に、みつひろは笑顔でそう答えた。


「…………え、」


驚いた。

ただただ、驚いた。


偶然、どこかでバッタリ会うことがあるかもしれない。

そう思ったこともあったけれど。

でも。

こうしてみつひろの方から会いに来るだなんて、想像していなかったから。


だから。


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