Secret Mission
第二章

運動会





時間は経ち、あれから一週間が経った。


仕事の件は結構な資料が揃ってきて、あとは頃合いを見るだけ。


今すぐにでも終わらせることは出来るのだが、宗平たちに止められたのだ。


『最低でも三年になるまで待ってほしい』と。


彼らはただ水樹と思い出を作りたいだけ。水樹もそれはわかっていたから頷いた。


交友関係は広くないが水樹だって年頃なのだ。


友人との思い出は出来るだけ作りたい。


そして、今日は運動会だ。


ただ、水樹は乗り気ではなかった。


と言うのも、どこから行事予定を聞き出したのか、先日、綾人に「運動会行くからなー」という電話がかかって来たのだ。


大勢の観客がいるなか、煩い歓声が聞こえてくる。

保護者たちの歓声もあると言うのに水樹にはしっかりと聞こえてくるのだ。

父親の歓声が。


「はぁ……」

「大丈夫か?水樹。ほら、水。」

「精神が不安定になりそうだ…」


子供が走っている訳でもないのに「水樹頑張れー」などという馬鹿な親に溜息が出てくるのも当然である。

翔が持って来てくれた水を受け取りながら水樹は席をたった。

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