【実話】終わらないトンネル
1章
誕生
平成9年の5月 春の暖かな日、
近所の産婦人科で私は誕生した。
優しく繊細な父と明るく活発な母、
そして 大人しい5つ上の兄が
最も待ちに待った誕生だった
体重3000g健康児
真ん丸顔で目がぱっちりとした
男の子のような赤ちゃん
周りの子たちと比べてもひと回り大きかった
けれど産声をあげない
一瞬、空気が張り詰めた
生まれたばかりの私の喉には
ポリープのようなものができ
産声を上げることができなかった
そのため即手術となり
手術成功後、やっとのことで
詰まっていた栓が抜けたように
私は大きく元気に泣き叫んだ
喜怒哀楽がハッキリとした
表情豊かな子供だったとか