僕の星

滝口君

 月曜日、学校は代休だった。

 里奈が台所で朝ごはんを食べていると、ポケットのスマートフォンが鳴った。
 発信者を確かめると、清川律子からだ。

 里奈は音を立てて茶碗を置き、すぐさま応答した。

『もしもし里奈、おはよう』

 律子の明るい声が聞こえてきた。

「おっ、おはよう、りっちゃん」

 母親がお茶を淹れながら、こちらを訝しそうに見ている。里奈は立ち上がって廊下に出た。

『例の男の子なんだけど』
「うんうん」
『三田君に訊いてみたよ。そしたらね……』

 律子の声が急に小さくなる。里奈は少し不安な気持ちになった。

『あのさ、あまり関わらないほうがいいみたい』
「えっ?」

 どういうことだろう。里奈は電話に耳を澄ました。

『なんかね、素行不良で停学になったり、いろいろ問題のある子みたいだよ』
「……」

 言葉の意味は分かるが、上手く理解できない。
 しばしぼんやりとした。

『もしもし、里奈?』

 律子の心配そうな声を聞いて、我に返る。

「ごめん、聞いてる。でも、あの……」
『だから、メアドとかも教えてもらえなかったんだ。三田君が、あいつは絶対やめとけって。進太君もそう言ってるって』

 進太君――
 里奈は思い出した。
 奈良で一緒に写真を撮った、きれいな顔の男子だ。

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