社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編

深まる二人

大量の袋を下げて、反対の手で私の手を繋ぎ、ズンズンとマンションに入っていく。



「健人さん、持ちますよ。」


「鞄だけ頼む。」


「いやいや、重そうだから。」


「平気だ。」



結局、健人さんに流されるままマンションの部屋にやってきた。


リビングに到着して、いつものようにソファーに腰掛けようとしたが――――。



「花菜、ラフな服に着替えて来い。」


「えっ?」


「俺に夜ご飯を作ってくれないのか?」


「えっ?あっ、うん、作るよ。ちょっと待ってて。」



急いで寝室のクローゼットから部屋着に着替える。この時期、随分と暖かくなってきていたので、ティシャツに短パンに履き替える。


急いでリビングに戻れば、エプロンを渡された。ちょっと大きめのエプロンを健人さんが着けてくれる。



「今度、買ってやる。今日はこれしかない。」


「健人さん、ありがとう。」


「冷蔵庫に仕舞ってあるから。夜ご飯、楽しみにしてる。」



健人さんがリビングから出ていった。私は初めて入る健人さんのキッチンを見渡す。


まな板、包丁などは用意されていた。私は簡単に出来るパスタを作る。
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