エリート御曹司が過保護すぎるんです。

【9】友達の恋人

 2年前のことだ。

 私は青羽と一緒に、会社の屋上でお弁当を食べていた。
 ふと顔を上げると、二階堂さんと総務課の女子社員が、植込みの向こうでなにか話をしているのが見えた。

(あれ、あの子……)

 サラサラの髪に、大きな瞳と膨らんだ唇。
 スタイルもよく、同性から見てもハイレベルな女子である。
 読者モデルの経験もあるという新人社員の彼女は、入社したときから噂の的だった。

「藤谷さんと別れて、私と付き合ってください」

 はっとするような艶っぽい表情で、彼女は二階堂さんにそう告げた。

 あの子には、何人もの男性社員が告白しては撃沈したと聞いている。

 でもそうか。
 彼女は二階堂さんのことが好きだったんだ。

 二階堂さんは、彼女になんと答えるのだろう。
 聞いてはいけないと思いつつ、勝手に耳に飛び込んでくる会話に聞き耳を立ててしまう。
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