三人のイケメンパパと、小さな月姫

■大慌て



はい。
重々、承知しております。


自覚はもう 充分してるからさ
そう何度も同じ事、言わないでくれよ




「あてはあるよ」

説教が始まって、辛くなり
そう言って出て来た、ミチルの部屋


暖かい、午後の陽射し
小春びより


ミルクやら、紙おむつやら
来た時よりも、かなり重くなった
泣き叫ぶカゴを下げて
新宿駅前を、早足で歩く




…実際は、宛なんかないんだ


さっき、ミチルが言ってたアズってのが
俺が大好きな、女の子の名前


だけど今は、芸能人やってて
海外に行ったり、かなり忙しい




…多分 アズなら

大喜びして、預かってくれるだろうし
もしこの子が、身元不明だとすれば
下手したら自分の子として育てるとか
コブシを掲げて、高らかに宣言しそうだ


…そういう、子なんです

俺の 初めて本気で好きになった
"あずる"って、女の子は




だから余計
そういうのが判ってるから
迷惑は、かけたくない


それに
バレたくないってのも
正直な気持ちで…




「カワィィ〜!」


「ちょっ…パパかな?
…若いし、チョーかっこよくね?!」


横断歩道を渡る時
すれ違った女子高生が
そんな言葉を発して
横を歩いて行った


やっぱり…パパに見えるのか…





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