覚醒者3号-第二次調査報告-

哲平

ようやく…ようやくまともな情報を手に入れる事が出来た。

この情報だけで機関を一網打尽に出来ると思うほど、俺も馬鹿じゃない。

この情報の施設という奴は、機関のほんの末端に過ぎないのだろう。

だがこれを足がかりに、一気に機関の中枢に肉薄できれば。

俺はそう考えていた。

…この逃避行は、俺の個人的な復讐の旅でもある。

訳のわからない薬品を投与され、化け物じみた超能力に目覚めさせられた。

そして平穏な日常を奪われ、俺一人を拉致する為に無関係の人間が大勢犠牲になった。

…正義の為なんて綺麗事を言うつもりはない。

俺の日常を奪われた返礼をする為の旅。

俺の体をモルモットのように弄繰り回された復讐を遂げる為の旅。

俺の手を、血で染めさせた責任を取らせる為の旅。

俺の怒りを鎮める為には、機関は存在させておく訳にはいかない。

機関を叩き潰す為に、俺は敢えて日常の自分を捨て去る覚悟をしたのだ。

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