海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

変化

ピピピピ…


目覚まし時計がうるさく鳴り続ける。


「うるさいー…」


私はそろそろと腕を伸ばすと、若干苛立ちながら目覚まし時計を止めた。


今日からは通常通りの勉強の日々になる。


でも一つ違うのは、これからは進路によって、受ける授業の内容が変わってくるという事。


メインの教室があって、その中で分かれるのが、進学コースと就職コース。


色々悩んだ挙句、私は就職コースを選んだ。


本当は、英文科がある大学に進学したいと思っていたけれど、両親と進路について話をした時に、


「英文科に通って何がしたいの?」

そう聞かれて私は何も答えられなかった。


何かしたい事がある訳ではなく、ただ何となく行きたかっただけ。


その程度の希望だったんだ。


結果、両親からは


「明確な目標が無いなら、大学には行かせてあげられないよ。」

という返事だったけれど、

その時の私は『確かにその通りだ』とすぐに納得する事ができた。


特に目的も無く、何となく大学に通って、両親に大きな負担を掛けるよりは、

早く働いて、一人前の社会人になった方が良いと思えたからだ。


だから卒業後は就職するという事を迷わず決められたし、その選択に悔いは無い。


瑞穂も就職コースを選択していた。


就職コースだからと言って、全く進学が出来ないわけではなくて、

専門学校や短大を受験する事だってできる。


瑞穂はそのクチだった。
< 5 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop