我妻教育
第一章

1.見合い

【 垣津端 未礼 
 垣津端家長女 松葉学院高等部3年生  
 199X年11月30日生 17歳 A型 
 165cm48kg B92W58H87 
 病歴特になし 趣味 読書 特技 料理 】


先日渡された見合い写真には振袖姿の澄ました女の写真と、そのプロフィールが記されていた。


将来、我が妻となるであろうその女が今、目の前に座っている。


10月の最初の日曜日。

まだ夏の名残を感じる暖かな初秋の午後、老舗の日本料亭にて、私と垣津端未礼の
見合いはとり行われた。


―申し遅れた、私の名前は松園寺啓志郎。

松葉グループ代表を父に持つ、小学6年生の男子だ。


「これはこれは…、凛々しく端麗なお坊ちゃんで…。
噂はかねがね聞いておりましたが、本当にご立派でいらっしゃる」

未礼の祖父が、私を褒める。


「なんて素敵なお嬢さんなのかしら。もったいないですわ」

私の母が、未礼を褒めるその言葉にお世辞は感じられない。


未礼は美しい人だった。


色白で、均整のとれた可憐な顔立ちに、黒目がちの大きな瞳が印象的。

暗めの栗色の髪を着物に合わせてまとめ上げ、まぶたにかかるくらいの長さの前髪を軽くななめに流している。








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