風にキス、君にキス。

風の色。






「俺はいつも走る前に考える。



ベストタイムが取れるか。


自分が思うように走れるか。



…優勝、出来るか。


次の大会に進めるか。





多分人間はそういう生き物なんだろう。


後悔することを、俺達は一番恐れる。





…けどな。


俺達がこうしてフィールドを走ってるのは、何もトロフィーのためだけじゃない。




"走りたい"から。

風と調和しあって、駆け抜けていくことに幸せを感じるから。



そうじゃないか…って気付くのは、スタートを待つ瞬間じゃない。


走り出した瞬間でもない。






…本当に風になった、まさにその瞬間なんだよ」



< 41 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop