僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ

始まる宴


◆Side:彗


「はいじゃあ、改めて! 我が家へようこそ有須―っ!」


有須のお母さんが帰って落ち着いた頃、凪が俺たちをリビングに集めた。


「あ……えと、あの、こ、これからよろしくお願いしますっ!」

「おもしろ過ぎるくらいガチガチだな」


勢いよく頭を下げた有須に祠稀が突っ込んで、それに凪が怒る。


「こちらこそよろしく、ニコッ!って笑顔とか作れないわけ!? 有須がビビッてんでしょーが!」

「はあ? 何だよニコッて! そもそも挨拶とか会った時にしただろ!」

「はぁ~……これだからダメなのよ。ねぇ彗? 彗はできるよね?」

「……何が?」


あ……凪の頭に角が見えた。鬼みたいな。


「なんなのアンタら! 同居した全員が同じ高校だよ!? そこ分かってる!? これから一緒に頑張ろうね仲良くしようねーっていう気持ちはないの!?」

「お前がそのテンションでいれば嫌でもそうなるっつーの」

「ねぇ、何様なの? なんでそんな上から目線なの?」

「お互いさまだろーが!」


ギャーギャー騒ぐふたりが1番有須をビビらせてるってことに、なんで気付かないかな……。


止めるべきか止めないべきか、すっごいハラハラしてるよ?

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