廃陸の旅団

退学そして

アンバー・タワーの地下数十階に位置するその部屋は、軍部でも一握りだけが入ることを許されていた。

そんな場所で――





「何をやっているんだ馬鹿者がぁぁぁぁあっ!!」

ニーガル中将はしかられていた。

そりゃもうこっぴどくしかられていた。

「いや、だからそれはですね……仕方なく。」

「何が仕方なく。だ馬鹿者。どうせいつもみたいに目星がついていて、きちんと尾行し実行を確認したくせにヒーローっぽい登場とか言ってギリギリまで余裕ぶっこいてた挙句に逃げられたんだろうが。」

ニーガルは全てを見透かされて、ただただ笑うことしかできない。

「さっすが副監。地獄耳に地獄目。」

「てめぇ私のこと完全に舐めてるだろ?今年度のニーガル中将の有給休暇の剥奪および休日勤務を義務化する。以上だ下がれ。」

副監の容赦ない、というよりはニーガルが余計な事を言ったせいなのもあるのだが、罰則が飛ばされた。


「そりゃ無いですよぉー副監。」

「煩い黙れ。」

ピシャリと釘を刺されて、とぼとぼとニーガルはその部屋を後にした。




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