迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
第25話 光の精霊師(ミリーネ視点)
***
寝間着姿のミリーネはドレッサーの前に座り、入念に肌の手入れをしていた。顔全体に美白効果が期待できる美容液をつけ、蓋をするようにクリームを塗り込んでいく。
(明日は精霊師としてランドレイス家の古城を訪ねる日。アーネスト様にも会えるし、肌のコンディションを整えておかないと)
社交界のエトワールと名高いミリーネは、多くの令息たちの憧れの的だ。
ミリーネが夜会に出席すれば、彼らはたちまち媚態を呈する態度を取ってくるし、婚約者がいると分かった上で高価な贈り物までしてくる。
ドレッサーの上にある宝石箱には、令息たちから贈られた指輪やイヤリングなどの宝飾品がたくさん収まっていた。
周りからチヤホヤされるものの、心は満たされていない。
その理由は、婚約者であるアーネストに原因があった。
(他の男たちから言い寄られているっていうのに、アーネスト様は嫉妬するどころか私に一切興味を示さない。……どうしてよ)
昔は今みたいにギクシャクした関係ではなかった。
お互い好き合っていたし、幸せな時間を過ごせていたように思う。
ミリーネの心はいつまでもアーネストを想っている。
変わってしまったのはアーネストの方だ。もとの優しい彼に戻ってもらうため、ミリーネは態度を改めるよう指導だって試みた。
ところが、その努力は裏目に出てしまったようで、アーネストにはため息とともにいい加減にしろと言われてしまった。
(いい加減にして欲しいのはこっちの方よ。大事な婚約者に冷たい態度を取って恥ずかしくないのかしら? 一体どこか品行方正のランドレイスよ!!)
苛立ちを覚えたミリーネは奥歯をグッと噛みしめる。